Speech Contest 2019 Scripts#14 「食事のときの楽しいこと」YUAN KUNHUA(China)
2019.04.02
2月28日に開催した今年度の弁論大会。 「楽」をテーマに、クラス予選を勝ち抜いた9人の弁士が熱弁をふるいました。 また、3組が歌や楽器の演奏を披露し、こちらも大いに盛り上がりました。 弁士のスピーチは後日動画としてお届けする予定ですが、ここでは原稿を公開します。
当日登壇した学生のものはもちろん、惜しくもクラス予選で涙を飲んだ学生の原稿の中にも、 非常に素晴らしい出来のものが相当数ありましたので、順次ご紹介していきます。 原文そのままですので、多少の読みにくさはあるかもしれませんが、是非ご一読ください。
食事のときの楽しいこと YUAN KUNHUA(China)
日本に来たばかりの時、友たちと仙台駅の近くのおでん料理店で食事をしました。料理店の主人は70代のやさしい爺さんでした。あの時、わたしたちは一番奥の席を選びました。隣の席に二人の中学生が座っていました。二人はおでんを食べる前に少し大きい声で「いただきます」と言いました。そして、食べ終わった時席を離れて会計をする前にお爺さんに「ごちそうさまでした」と言いました。私はあの時少しショックを受けて、完全に日本ドラマや映画のシーンかと思いました。自分にとって、他の人がいる場所で、そんな大声で「いただきます」と言うことが少し恥ずかしいと思うのです。 その時、好奇心を持ちネットでその二つの言葉の意味を調べました。「いただきます」には、2つの意味があります。1つは、食物の製造者に感謝です。2つめは、食材への感謝です。そして、「ごちそうさまでした」は、いろいろと大変な思いをして食事を準備してくれた方への感謝と食材に対する感謝です。両方も感謝の気持ちを込めています。中国では、この感覚の言葉もあります。 普通外食の時は言葉はありません。例えば、友だちの家に遊びに行った時、友達がいろいろな食材を準備して美味しく料理を作ってくれました。その時は帰る前に感謝を込めて、「多謝款待」を言いました。それは、「ごちそうさまでした」と同じ意味の中国語の言葉です。でも、店で食事する時、お店に入ってから、会計をするまで、何も言いません。そして、感謝の気持ちも持っていないと思います。 「いただきます」「ごちそうさま」には日本人の習慣ではなく、日本人の考え方や食文化が反映されているのです。その文化の違いを理解しなければなりません。でも今楽しくて、この言葉の意味が理解できました。
日本に来て一番驚いたのは食事の前後の言葉です。例えば、日本人の習慣は食事を始める時「いただきます」といいます。そして、食事が終わる時「ごちそうさまでした」といいます。
私は、日本で、楽しいことを楽しみ続けます。
私たちが普段何気なく使っている言葉に、違う角度から光を当てたYUAN(日本名:高橋)さん。 古典芸能やサブカルチャーなどの、わかりやすくて目立つものからだけではなく、 このような日常的な事柄からも、学生たちは文化の差異を感じていることがよくわかります。 「外食の時は言葉はありません」というのも、そこに金銭の授受があり、その中で「感謝」の表現は 果たされている、だから言わないのだ、と考えれば、非常に合理的だと捉えることもできます。
作文を含め学生とのやりとりの中で新たな学び、発見がある。 そんな、この仕事の魅力の一つが、存分に詰まった文章であるように思えます。
(瀬戸)