仙台国際日本語学校

「仙台国際日本語学校」は宮城県仙台市にある日本語学校です。

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仙台国際日記(ブログ)

授業のこぼれ話 #2 お寺とあの飲み物の意外な関係

2022.06.01

あれは昨年だっただろうか? 漢字の授業での話である。

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その日の担当範囲は『留学生のための漢字の教科書 中級700』の第13課。
「アルバム 日本での生活」として括られた20の漢字のうちの半分と、その漢字を用いる語彙を教える。
具体的には「似」「珍」「寺」「仏」「祈」「築」「徒」「将」「経」「活」の10が、その漢字である。

ひと通り各字の字源や覚え方のコツ、注意点や補足情報などを話した後は、練習の時間だ。
いつも通り、見開きの右ページにある問題に、学生たちは黙々と取り組んでいる。
この間、学生からの質問などがない限り教師は比較的暇であるため、机間巡視を行うことが多い。
例に漏れず、私も学生たちの机の間を縫って歩き、ミスやつまづきがないかを確認していた。
その時、ある学生の教科書の上に違和感を見つけた。ん?

「寺」という感じの上に「らて」と書かれているではないか!
...むむむ! こ、これは!

三十数年の人生の中ではおそらく初めてであろう、私の中で「寺」と「ラテ」が関係を結んだ。
それは、大物芸能人同士の電撃結婚にも似た衝撃を私にもたらしたのである。

「寺」と「ラテ」。

出自も雰囲気も属性も、その他およそ何もかも異なるように思えるこの二語は、言わばコインの表裏。
もっと言えば、日本語においては同じ構成要素からなる、双生児のような存在だったのである。
顔つきや服装が全然違うとは言え、なぜ今までこのことに気付くことができなかったのか...。

しばしの勝手な自責の後、私の頭にはあるアイディアが、いや正確には妄想が、ふと浮かんできた。
「寺 de ラテ」というのはどうだろう?

お寺においてお茶ではなく各種のラテを、いや、latteを愉しみ、参加者が親睦を深める集い。
飲酒や妻帯をも認める寛容な日本仏教なら、latteぐらいの外来物を受け入れられないわけはない。
そしてこの集いを通して、昨今檀家の減少で悩みが多いと聞くお寺に僅かながら貢献できるのではなかろうか!

興奮冷めやらぬうちに、そして誰かが思いついてしまう前に、と、即Google検索。
だが、そのようなイベントはすでに、世の中に五万と存在しているらしいのであった。
(60万件以上にヒットしたため、この場合「五万と」は誇張表現としてさえ機能していないと思われる)


(瀬戸)

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