仙台国際日本語学校

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仙台国際日記(ブログ)

padletを使った「会話」授業②

2021.05.25

前回、padletを使った「会話」授業を始めた経緯と、padletを採用した理由について書きました。
今回は授業の具体的な方法や、成果・感想について、あくまで個人的なものですがまとめていきます。


無題.jpg
<↑教師陣による、例となるビデオ。写真は5/14「もし動物になれるなら」の回のもの。スクリプトも>

まず、おさらいになりますが、この授業は週に1回45分の授業です。
最大の課題は、テーマについて自分の意見や経験を日本語で話し、そのビデオをpadlet上にアップすること。
これまでに計5回行い、毎回微妙にやり方を変えたりもしていますが大枠は以下のような感じで進めています。


授業前】
①教師陣が「会話」のテーマを決め、それに沿って、例となるビデオ(約1分)を作成、padletに上げる。
 ちなみに、過去の「テーマ」は以下の通り。
  
 ・4/16 「毎日の食事」
 ・4/23 「住んでいる場所・家」
 ・4/30 「GWの予定」
 ・5/7 「嫌いなもの・こと」
 ・5/14 「もし動物になれるなら」
 
②授業の前日までに、上記の教師作成ビデオを学生たちに送り、授業当日までに視聴しておくように指示する。

【授業時】
③今回のテーマを確認する(上記②の時点で学生の多くはテーマについても事前に知ることになります)。
④表現や構成、発音等のポイントを伝えたり、締め切り等の諸注意をしたり、質問に応じたりする。
⑤学生たちはテーマに沿った内容の、「1分間スピーチ」のようなビデオを作成する。
(※この授業は毎週金曜日の最終コマ、終わらなければ学生たちにとっては週末の宿題になります)

【授業後】
⑥学生たちのビデオを視聴し、padlet上でコメントをする(※これを学生間でやらせる場合もあります)。
⑦ビデオをもとに評価を行う。
⑧教師陣で今回の授業の振り返りを行い、①に戻る。


これで前回、この授業を「会話」と括弧書きにした理由がお分かりいただけたと思います。
一般に会話は、口頭での、同時双方向の、即時的なやりとりになると思いますが、この授業では違います。

何が違うのかを、少し具体的に分析してみます。
まず、この「会話」では、ビデオに対しテキスト(たまにビデオでも)で返答が返ってきます。
両者とも、いわば固定されたものですので、何回も聞き直したり、読み直したりすることができます
これは学生の学習にも有効でしょうし、こちらが評価・フィードバックを行う際にも便利です。


また同時双方向ではなく、タイムラグがある「非同時双方向」的なやりとりになります。
これは「即時」のプレッシャーから解放されますし、ある意味会話が「作品」的に丁寧に作り上げられます。
もちろんこれには「会話における瞬発力」が鍛えられないという負の側面も存在します。
しかしながら、学生たちは日本社会に生きているので、この時間以外でもその瞬発力を養うことはできるはず。
なので、こうしてじっくりと考え分析できるほうが、会話力向上に繋がるのではないかと今は考えています。

padletというツールを経由しているので、コロナ対策にもなっていることは言うまでもありません。
対面では会話、対話、協働などの活動に制限がありますが、padlet上でならその制限はなくなります。
そのため、昨年度のコロナ1年目では難しかった、お互いを知り合う機会の創出にもなっていると感じます。
「お互い」というのは学生間もそうですし、教師-学生間にも言えることです。
振り返ると、これまでこれほど教師自身の意見や考えを学生たちに伝えられる機会があったかどうか...。

と、このようなことを感じたり考えたりしております。
ここまでまとめてみると、学生たちや他の先生方の意見も聞きたくなってきました。
気が向いたら「③」としてまとめようと思いますが、とりあえずこの件はこれで一旦終わりにします。


【おまけ】
ダルビッシュ有選手が、外国語学習におけるアウトプットの重要性を語っているビデオを見つけました。
学生たちの「もっと会話を」の声を、解像度の高いことばにするとこのようになるのかなと思います。
この授業の意味とも重なる部分が大きいと感じたので、URLを添えておきます。
https://youtu.be/hTwSp0oDBzg



(瀬戸)

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